ライフ・オブ・デビッド・ゲイル | サイケデリック漂流記

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル



タイトル: ライフ・オブ・デビッド・ゲイル

最近観たスリラーの中で一番面白かったのがこれ。ただし、死刑制度の是非を問うた社会派ドラマというのではなく、あくまでエンターテイメントとして観るべきものだと思います。同じアラン・パーカー監督の「ミシシッピー・バーニング」も、黒人差別問題を扱った社会派ドラマとして観ると、少々強引で無理があるのと同様です。どんなに良くできていても娯楽性を排した社会派ドラマより、娯楽映画として楽しんだ後で、いろいろな問題について考えさせられるような映画が好きですね。

で、この映画、謎[ミステリー]の提示→それが解決されないままストーリーが二転三転[サスペンス]→タイムリミット(三日後に迫った死刑執行!)をめぐる活劇[スリラー]→最後にあっと驚くようなどんでん返し、・・・というスリラーのツボを全部押さえていて、それらの内容・構成・展開などが、(最高ではないにしても)ことごとく水準以上のレベルを保っているという、ありそうでなかなかない優れものだと思います。

無実を主張するレイプ殺人犯役にケビン・スペイシーを配したのには賛否両論あるようで、確かにもっとクセのない人がやってたら完全にミスリードされてたかもしれない。だって、ケビン・スペイシーが唯一の交渉相手として若い美人記者(ケイト・ウィンスレット)を指定して、刑務所で面会する場面なんて、まるで「羊たちの沈黙」なんだもん。それが、裏の裏をかいてわざと混乱させようとしたのならスゴイですが。

あと、観るときはわりと神経集中させて観ることをお勧めします。いろんなところに伏線が張りめぐらされているので、ぼーっとして観てたら見落としてしまいます。アイリッシュなんかのスリラーを読むのが好きな人は楽しめると思います。