サイケデリック漂流記 -131ページ目

第18回 The Byrds

アーティスト: ザ・バーズ
タイトル: 名うてのバード兄弟

このジャケットにダマされてはいけません。私はこのアルバム(The Notorious Byrd Brothers - 1968)は60年代のサイケデリック=フラワー文化が生んだ最高傑作のひとつだと思います。

プロデュースは前作の「昨日より若く」に続いてゲイリー・アッシャーが担当していて、前作のソフトサイケ的側面を「サージェント・ペッパーズ」の影響のもとに一気に昇華させた、この上なく美しいトータルアルバムになってます。

先頭に、いきなりブラスをフィーチャーした風変わりなポップソングのような曲が登場して戸惑うかもしれませんが、安心してください。何度か聴いているうちに、「最初はこの曲でなければ!」と思うようになってきます(*1)。

二曲目はキング=ゴフィン作のGoin' Back。もう一曲のキング=ゴフィン・ナンバー、Wasn't Born to Followとともに、60年代のナイーブ&イノセントを象徴するかのような純真さは、このアルバムの重要なポイントになっています。(後者は映画「イージー・ライダー」で印象的に使われていました。)

その次が、前作で突如ソングライターとしての才能を開花させたクリス・ヒルマンのサイケデリック・ナンバー、Natural Harmony。・・・というぐあいに、流れる水のように途切れなく曲が続き、痺れるような浮遊感であちらの世界へトリップさせてくれます。

どの曲もアレンジやエフェクトともに素晴らしい出来で、特にデビッド・クロスビー絡みの曲は、恐ろしいくらいの冴えを見せています。これは、クロスビーが制作途中で解雇されて、残りのメンバーやゲイリー・アッシャーが好きに作れたことが、かえって功を奏したのではないかと思われます。(クロスビーがダメだという意味ではなくて・・・、念のため。)

メンバーの制作意図がどうであったにせよ、また、制作中のメンバー間のいざこざがあったにしても、結果出来あがったものは極上のソフトサイケ作品となりました。歌われている内容も、自然や宇宙へのイノセントな憧憬といった、いかにも60sフラワーなもので、愛好家にはマストアイテムだと断言できます。

なお、本作はゲイリー・アッシャーがミレニウムおよびサジタリアスを制作していた時期と重なります。次回紹介予定のこれらの作品と併せて「ソフトサイケ三部作」として聴けば、よりその魅力が増すことでしょう。(試聴はこちら。)

最後にバーズのことをちょっと説明しておきます。日本ではヒット曲の「ミスター・タンブリンマン」くらいしか一般にはほとんど話題になりませんが、バーズが以降のロックシーンに与えた影響は巨大なものがあります。ボブ・ディランとビートルズを融合して「フォークロック」を創生し、本家のビートルズや西海岸のロックシーンなどに影響を与えました。また、まだサイケデリックという言葉が一般的になる前に「霧の五次元」でいちはやくアシッドロック(当時はラーガ・ロック、スペース・ロックと呼ばれた)を始めたり、カントリー・ロックの嚆矢となる「ロデオの恋人」でルーツロックの先鞭をつけたりと、ロックを革新した度合いではビートルズに勝るとも劣らないと思います。


*1

ロジャー・マッギンの意図したものとは違うアレンジになってしまったようですが、結果オーライというか、サイケ感覚あふれるものになっています。ちなみにこの曲(Artificial Energy)は「スピード」(アンフェタミン)のことを歌ったドラッグソングです。

ナショナル・トレジャー


なぜか「アビエイター」ではなくて「ナショナル・トレジャー」を観てきました。

天才的歴史学者で冒険家の主人公が、父から子へと代々伝えられてきた「国家の秘宝」の謎を解き、その手がかりが合衆国独立宣言書に密かに書きしるされていることをつかむ・・・。というトレジャー・ハンター(宝探し)物のアドベンチャー。

主演ニコラス・ケイジ、製作ジェリー・ブラッカイマーといえば「ザ・ロック」「コン・エアー」と同じ顔ぶれで、ほとんど同じようなノリのアクション・スリラーです。それに加えて「インディー・ジョーンズ」と「ミッション:インポッシブル」と、あと「ダイハード3」のおいしいところを接ぎ合わせたみたいな感じ(ホント!)になってます。

音楽が「コン・エアー」でも担当してたトレヴァー・ラビン(ロック好きにはおなじみの元イエスの人)で、アクション部分は過剰なくらいに音楽で息つかせぬスリラー感を煽るあのノリなんですが、そういうカーアクションとかの「急」だけではなくて「緩」の部分も尺的にはわりとあって、笑いありの恋愛ありの家族ドラマありのと、非常に盛り合わせ感が高いです。しかし、その配分がいい塩梅で、全体的な印象は予想したより軽くてファッショナブルな感じ(悪くいえば薄っぺら)に仕上がってます。

キャストは、ヒロインに「トロイ」のヘレンのダイアン・クルーガー、敵役に「ロード・オブ・ザ・リング」のボロミアのショーン・ビーン、そして狂言回し的な脇役の天才ハッカー役に新人のジャスティン・バーサという旬どころを持ってくる一方、ニコラス・ケイジの父親役に「M:I」にも出てたジョン・ヴォイト、FBI捜査官にハーヴェイ・カイテル、最初にちょこっと出て来るお祖父さん役にクリストファー・プラマーと、渋いところと新鮮なところをうまく配しているのがニクい。

惜しむらくは「ザ・ロック」でコンビを組んだショーン・コネリーがお父さん役だったら、もっと大作感が出てたかもしれない。でも、それだと、まんま「インディー・ジョーンズ」になってしまうので(ほんとに、ラスト近くの洞窟での冒険の父子のやり取りなんてそっくり!)、これはジョン・ヴォイトで正解でしょう。ジョン・ヴォイト(*1)って昔の「真夜中のカーボーイ」とか見る限りでは息の長い役者になるとは思えない雰囲気なんだけど、いい感じに老けましたね。

まあ、けっこう宝探しの謎解きの部分とかで「そんなアホな」というツッコミどころも多いんですが、この手の映画でそれを指摘するのは野暮ってもんでしょう。ハッピーエンドでカタルシスを味わえて、良くも悪くもスッキリと後に引かない、家族で気軽に観れるようなディズニー映画らしい娯楽作品でした。

オフィシャル・サイト:
http://www.movies.co.jp/nationaltreasure/

*1
いまでは、「アンジェリーナ・ジョリーのお父さん」と言ったほうがわかりやすいのかな?

The '60s Rock Experience


アーティスト: Various Artists
タイトル: The `60s Rock Experience

60sの名曲を満載した3枚組のコンピがShout!Factoryから発売されました。

1. The Byrds: Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is A Season)
2. The Mamas & The Papas: California Dreamin'
3. The Zombies: Time Of The Season
4. The Kinks: You Really Got Me
5. Canned Heat: On The Road Again
6. Paul Revere & The Raiders: Kicks
7. The Lovin' Spoonful: Do You Believe In Magic
8. The Grass Roots: Sooner Or Later
9. Fontella Bass: Rescue Me
10. Sonny & Cher: The Beat Goes On
11. The Vogues: Five O'Clock World
12. The Buckinghams: Mercy, Mercy, Mercy
13. Martha & The Vandellas: Nowhere To Run
14. Pacific Gas & Electric: Are You Ready?
15. Iron Butterfly: In-A-Gadda-Da-Vida
16. Jr. Walker & The All Stars: Shotgun
17. Stone Poneys Featuring Linda Ronstadt: Different Drum
18. Donovan: Universal Soldier
19. The Monkees: Daydream Believer
20. Jefferson Airplane: Somebody To Love
21. Scott McKenzie: San Francisco (Be Sure To Wear Flowers In Your Hair)
22. Van Morrison: Brown Eyed Girl
23. The Turtles: Happy Together
24. Dusty Springfield: Son Of A Preacher Man
25. The Association: Along Comes Mary
26. The Byrds: Mr. Tambourine Man
27. Strawberry Alarm Clock: Incense And Peppermints
28. The Temptations: (I Know) I'm Losing You
29. We Five: You Were On My Mind
30. Donovan: Hurdy Gurdy Man
31. Tommy James And The Shondells: Crimson And Clover
32. Percy Sledge: When A Man Loves A Woman
33. The Mindbenders: A Groovy Kind Of Love
34. Sonny & Cher: I Got You Babe
35. Otis Redding: Try A Little Tenderness
36. Procol Harum: A Whiter Shade Of Pale
37. Diana Ross And The Supremes: Reflections
38. The Young Rascals: Groovin'
39. The 5th Dimension: Aquarius/Let The Sunshine In (The Flesh Failures)
40. The Youngbloods: Get Together
41. The Chambers Brothers: Time Has Come Today
42. Steppenwolf: Magic Carpet Ride
43. Blood, Sweat & Tears: Spinning Wheel
44. Five Man Electrical Band: Signs
45. Grateful Dead: Casey Jones
46. Eric Burdon & The Animals: Sky Pilot (Part One)
47. Edwin Starr: War
48. The Temptations: Ball Of Confusion (That's What The World Is Today)
49. Country Joe And The Fish: The Fish Cheer & I-Feel-Like-I'm-Fixin'-To-Die Rag
50. The Impressions: People Get Ready
51. The Guess Who: Laughing
52. Bobby Fuller Four: I Fought The Law
53. Tommy James & The Shondells: Crystal Blue Persuasion
54. Nilsson: Everybody's Talkin'
55. Manfred Mann: With God On Our Side
56. Zager & Evans: In The Year 2525 (Exordium & Terminus)
57. Barry McGuire: Eve Of Destruction
58. Dion: Abraham, Martin And John
59. The Hollies: He Ain't Heavy, He's My Brother

ほんと、大好きなグループ/曲ばっかし!(選曲はこの手のコンピで最高の部類でしょう。)・・・でも、ほとんど全部持ってるや(苦笑)。

それにしても、いまどきCD3枚組で6千円というのは高過ぎないすか? それと米Amazonで買った人が、「曲がFull Lengthじゃないぞ」とコメントしてたけど、どういうことだ? 単に全部シングルバージョンという意味なのだろうか。まさか再編集して短くしてるなんてことはないよね。

第17回 The Seeds


アーティスト: The Seeds
タイトル: Pushin` Too Hard

いまの時点で好きな(よく聴くまたは聴きたいと思う度合いが高い)サイケアルバムのベスト10(順不同)を挙げると・・・

Love / Forever Changes
Millennium / Begin
Sagittarius / Present Tense
The Byrds / Notorious Byrd Brothers
Gandalf / Gandalf
Electric Prunes / Underground
C.A. Quintet / Trip Thru Hell
The Doors / The Doors
The Seeds / The Seeds
Iron Butterfly / In-A-Gadda-Da-Vida

という感じでしょうか。

これまで紹介してこなかったのは、好き過ぎてうまく言葉で表現できない、みたいな感じだったのですが、言葉が足りない部分は後から思いついたときに更新することにして、ぼちぼちと載せていきたいと思います。

というわけで、今回はThe Seedsです。1966年、フラワームーヴメントの勃興とともにロスでレコードデビューし、Can't Seem to Make You MineやPushin' Too Hardなどのヒットを飛ばした彼らは、フラワーチルドレンの代表のように捉えられていたようですが、本質は単純なリフを繰り返すプロトパンク的なガレージ・サウンドです。

しかし、それが決して攻撃的な感じではなくて、B級的というか、おバカっぽくてチャーミングなところが最大の特徴です。Flower Punkと呼ばれているようですが、言い得て妙という感じです。

これもチープサイケの部類なんですが、演奏や楽器の音がチープというより、存在そのものがチープという感じ。リーダーのスカイ・サクソンというのがかなりの変人のようで、のちに宇宙をヘヴィメタル空間に見立てた世界の教祖になったりしたそうです(このオフィシャルサイトを見たら、そのノリがわかると思いますが・・・)。

とにかく、一度ハマると病みつきになります。

第16回 アイアン・バタフライ


Iron Butterfly
In-A-Gadda-Da-Vida

これは私が勝手に「ど演歌サイケ」と呼んでる大好きなバンドの、宇宙最高傑作アルバム(1968)です。LPではB面を占める17分のタイトル曲によって、当時はサイケというよりアートロックという触れ込みで売られたようですが、私にしてみればこれは愛すべきチープサイケ以外のなにものでもありません。激歪ファズ、チープなオルガン、東洋(またはネイティブアメリカン)趣味のヘンテコリンな曲、と三拍子そろってて即死保証します。

本作以上にチープさ大爆発のデビュー作、"Heavy"も最高! ただ、このど演歌サイケ風情も69年の"Ball"くらいまでで、それ以降の作品はヘンに「上等」になってしまいました。やはりこの手の音は60s限定でしょう。


アイアン・バタフライ
ヘヴィ(紙ジャケット仕様)


Iron Butterfly
Ball


アーティスト: Iron Butterfly
タイトル: In-A-Gadda-Da-Vida [Deluxe Rhino]


蛇足ですが、このバンドに在籍したリー・ドーマン(ベース)とラリー・ライノ・ラインハルト(ギター)は、第1期ディープパープルのボーカリストのロッド・エバンスらと、70年代前半にCaptain Beyondという伝説的なハードロックバンドを結成しています。


アーティスト: Captain Beyond
タイトル: Captain Beyond

Love Depression


アーティスト: Love Depression
タイトル: Love Depression

これはベネズエラのバンドが1968年に出した唯一のアルバム。わりと最近CD化されたようで、ジャケがサイケだったので聴いてみました。

一曲目がなかなか強烈で、High Way Child(CDの表記のまま)、Stone Free、51st Aniversaryのカバーからもわかるとおり、基本はジミヘン・フォロワーのヘヴィーサイケ・トリオです。録音当時メンバーは10代で、ギターは17歳くらいだったらしい。

リズムが結構ぐちゃぐちゃで、ヘンな間(ま)があったりして、ラリって演ってるのか、単にヘタなだけなのか定かではありませんが、そのへんがトリップ感を出してて面白い。オリジナルは先頭の一曲だけ?で、あとは「クロスロード」とか「青い影」とか60年代スタンダードのあまり上手いとはいえないカバーがほとんどを占めてて、スタイルもバラバラな感じなんで、無人島サイケとまではいかないんですが、なかなかナマな感じで良かったです。(試聴はこちら。)

もともとインディオの文化ってドラッグと密接な関係があったからかもしれませんが、南米のサイケもそれ専門のガイド本があるくらいたくさん出てます。すごく興味あるんですが、まだほとんど未開拓の状態です。聴いたら、ぼちぼちとこちらで紹介していきたいと思います。

ラスベガスをやっつけろ


タイトル: ラスベガスをやっつけろ

先月の今日、原作者のハンター・S・トンプソンが自殺したというニュースを聞いたときに、この映画について触れようと思ったのですが、もう一度観てから書こうと思ってるうちに、ちょうどひと月経ってしまいました。

この映画、カタギの人が予備知識なく観たら、わけのわからないB級コメディとしか思えないかもしれません。(カンヌ映画祭ではブーイングの嵐だったそうな。) ひとことでいうと、オヤジふたりが最初から最後までラリってるだけみたいな・・・。でも、これほどドラッグカルチャーの本質を突いた作品は、ほかにはないのではないかと思います。

ところどころに挿入される魅力的な60年代の音楽や映像(*1)とは対照的に、映画の中の今(フラワームーブメントが終焉した70年代初頭)の、ドラッグ文化の生ける屍(ゾンビ)のようなジャンキーの姿を徹底的に醜怪に描くことで、時代とドラッグの関係を鋭く浮き彫りにしています。

60年代のドラッグ文化が特別だったのは、その時代背景があったからこそ。泥沼のベトナム戦争や人種差別やらがあって、体制やそれを支える価値観は悪であり、それらを破壊し、これまではタブーであったことや新しい経験(LSDなど)をすることは正しいことでありパワーであるという、一種のお祭りのような精神的高揚が生んだものだったのでしょう。

しかし、ドラッグが人間の意識を拡大して、人類にあらたな精神的ビジョンを提供する、というような話はファンタジーに過ぎないことがわかってきます。60年代のドラッグ文化が魅力的なのは、特異な時代性(未熟な精神性等の負の要素も含む)によって、そのファンタジーがアートや音楽として奇跡的に具現化したからではないかと思います。本作は、そのような60年代ドラッグカルチャーへの強い哀惜の念を表しています。

原作者であり主人公のラウル自身であるハンター・S・トンプソンは、ゴンゾー・ジャーナリズムの先駆者とされている人です。ゴンゾー・ジャーナリズムとは、本来は客観的で公正中立のはずのジャーナリスト的立場を捨て、自ら取材対象の中に入り込んで同化し、主観的なドキュメンタリーとして記事を書くというスタイル。文学でいうと「私小説」みたいなものでしょうか。


主演のジョニー・デップは撮影前にハンター・S・トンプソン
の付き人をして役作りをし、頭を剃ってまでなりきろうとした。


JAの「ホワイトラビット」でバッドトリップ中のドクター・ゴンゾー
ベニチオ・デル・トロ)。彼もこの役のために20kg太った。


原作者の故ハンター・S・トンプソンもチラっと出ている。


*1
使われている音楽は、ジェファーソン・エアプレイン、ホールディング・カンパニー、ヤードバーズ、ヤングブラッズ、ボブ・ディラン、ブッカーT&the MG's、スリードッグナイト、などなど。60sファンは音楽だけでも楽しめるでしょう。特にラストに流れるニール・ヤング(バファロー・スプリングフィールド)の「エクスペクティング・トゥ・フライ」が美しい。


シスコのMatrixで「あなただけを」を演奏する
ジェファーソン・エアプレイン(のモック)。


こちらはホンモノのグレイトフル・デッドの演奏風景。



著者: Hunter S. Thompson
タイトル: ラスベガス・71 [原作]

関連記事:
(tuboyakiさん)
ラスベガスをやっつけろ/Fear and Loathing in Las Vegas
ハンター・S.トンプソンを偲ぶ集い

キッズ・アー・オールライト


タイトル: キッズ・アー・オールライト [ディレクターズ・カット完全版]

ロックのドキュメンタリー・フィルムの中で最高峰といわれるThe WhoのThe Kids Are Alrightを先日はじめて観たので、誌上で再現してみたいと思います。


キース・ムーンに後ろから茶々を入れられマジギレする司会者。


キース・ムーン、いきなりピートのスネに咬みつく。


キース・ムーン、いきなり服を脱ぎはじめる。


ピートの話に「つまらん!」と逆立ちをはじめるキース・ムーン。


キース「俺はみんなから仲間と思われてないんだ。勘でわかるんだ」


キース・ムーン、暴れる。


キース・ムーン、いきなりピートの服を引き裂く。


キース「いくつもの大地震を生き延びた。タイタニックや飛行機事故も…」


ついにキレて反撃を開始するピート。


司会者、泣く。


キース・ムーン、太って荒井注に似る。


キース・ムーン、ますます太ってますます荒井注に似る。

Fuzz, Acid & Flowers (Revisited)


Vernon Joynson
Fuzz Acid and Flowers Revisited


これは最近出た新版で、旧版の570ページから1100ページに倍増(↑のリンク先のamazonには250pと表記されていますが、誤りです)。画像では実際のボリューム感が伝わらないのが残念ですが、とにかくデカくて重い。重さ約3トン。手で持って読むのは不可能。

中はこんな感じ。


これはアナログのレア盤を何百ドルも出して買うような人向きですね。私みたいなひやかしにはちょっと贅沢な本です。

下はカラーグラビアページですが、こういうの見てるとサイケって音だけじゃなくてアートとか時代の雰囲気とか、そういうのを全部ひっくるめた魅力なんだと思います。



第15回 We Five


アーティスト: We Five
タイトル: You Were on My Mind/Make Someone Happy

このグループのリーダーのマイク・スチュワートはキングストン・トリオのジョン・スチュワートの弟です。そういう氏素性もあって、デビュー作(1966)はピーター・ポール&マリーなどのようなモダンフォーク的側面の強いものでした。当時興りつつあったフォークロック的な曲が見受けられるものの、全体的に端正で「お行儀の良い」感じは、フラワージェネレーションよりも一世代前のグループという印象があります(*1)。

ところが、ママス&パパス人気の影響でしょうか、翌年出されたセカンドは、ずっとくだけた感じに変身しています。先頭がLet's Get Together、2曲目がHigh Flying Birdという曲目(*2)からも察せられるように、アルバム制作地のサンフランシスコ*3)のサイケデリックシーンを強く意識したものになっていて、むしろママス&パパスよりもロック色が強いくらいです。

作品としては、前作録音時のアウトテイクではないかと思われるような「真面目」な曲が混じってたりして、ハジケきれてない印象なのが残念なところですが、コーラスハーモニーがとても美しいので、それも許せてしまえます。


*1
逆にいうと、それらの中で新しいスタイルをいちはやく取り入れようとしたグループなのかもしれません。

*2
どちらもJAをはじめ当時の数多くのサイケ系アーティストにカバーされた曲。Let's Get TogetherはQMSのディノ・ヴァレンテ作。

*3
シスコのバンドと紹介されていることもありますが、本拠地はLAのようです。ちなみに、上に挙げたCDは1stと2ndの2on1です。
追記: どうやら結成はLAで、フォークサーキット時代を含む主な活動場所がシスコということみたいです。