サイケデリック漂流記 -134ページ目

ガレージ・パンク


著者: 関口 弘
タイトル: ガレージ・パンク

この本はシンコーのディスク・ガイド・シリーズの一冊。このシリーズは他にプログレやハードロックなど多数出てますが、カラーのジャケ写真がきれいで、色とりどりのアルバムジャケットをながめているだけで楽しくなります。

掲載アーティストはかなりコアで、CD化されてない(入手困難な)聞いたこともないようなバンドがびっしりと載っていて圧倒されます。ガレージサイケ系のバンドも掲載されていますが、ソフトサイケ系やポップサイケ系などはほとんど排除されているので、サイケデリック入門には適さないかもしれません。

ぜひ、このシリーズでもサイケデリック特集を出してほしいものです。

60年代音楽


タイトル: 60年代音楽―1960s beat classics

サイケ関連の本もいくつか紹介しておきます。ただ、サイケデリックの専門書ってなかなかないんですよねー(知らないだけかもしれませんが)。

この本は私が持ってる60s関係の本の中で、一番良心的で密度の高いものです。ポップスやジャズやロックという大きなジャンル分けだけでなく、「ビートルズ登場前夜のブリティッシュ・シーン」、「フィル・スペクターとゴフィン&キング」、「サンフランシスコ・サイケデリアの日々」といった興味深いテーマごとに、総括記事と関連アーティストおよび代表作が解説されています。

そのジャンルの基本的な代表アーティストから、かなり濃い目のマイナー系まで載っていて、単なる入門書以上の充実した内容になっています。私はHullabalooなど60年代の音楽番組を観るのが好きですが、「誰この人?」というとき、たいていはこの本に載っているので重宝しています。

相似形な俳優たち


いまでは大丈夫ですが、まだ幼少のみぎり、というかかなり物心ついてまで、私はダスティン・ホフマンアル・パチーノの区別がつきませんでした。しかし、いまでもよく間違えるのがピーター・ウェラージェイムズ・ウッズです。


ホント、よく似てるよなー(どっちがどっちかは最後に・・・)。ここのレビューなんて、専門家の人?が間違えてるくらいだから。「裸のランチ」はジェイムズ・ウッズでなくてピーター・"ロボコップ"・ウェラーの方です。同じクローネンバーグ監督でも、「ビデオドローム」ではジェイムズ・ウッズが主演だから間違えるのも無理ないんだけど。

あと、女優さんではナオミ・ワッツニコール・キッドマン。え?っていわれるかもしれませんが、写真とか見て、どっちだっけ?と思うことがたまにあります。


あと、フォレスト・ウィテカー笑福亭鶴瓶。似すぎです!


答え(上から順に):
[左]アル・パチーノ [右]ダスティン・ホフマン
[左]ピーター・ウェラー [右]ジェイムズ・ウッズ
[左]ナオミ・ワッツ [右]ニコール・キッドマン
[左]フォレスト・ウィテカー [右]笑福亭鶴瓶

第3回 Mystic Siva



60'sサイケといっても、へヴィサイケ、ソフトサイケ、ポップサイケ、アシッドサイケ、ガレージサイケ、シスコサイケ、UKサイケ、ジャーマンサイケ、南米サイケ、メロウサイケ、ドリーミーサイケ、チープサイケ、ルーツサイケ、フリークサイケ、ピュアサイケ、ローファイサイケ、アングラサイケ・・・、といろいろありまして(すいません、私が勝手に名づけたのもあります)、百花繚乱という感じなんですが、今回のMystic Sivaはアングラ、ローファイ、ピュアサイケ系の雄といえるかもしれません。

上のオリジナルジャケが物語るように、自主制作でとりあえず十枚だけプレスしてみました、みたいなローファイ感。この手の音に馴染みのない人が聴いたら、「これ、しろーと?」「高校生バンド?」と思われるかもしれません(実際、制作時の平均年齢は17歳くらいだったらしい)。しかし、私にしてみると、これでも演奏はかなり上手い方の部類に入ります。なんせ、このローファイ、ピュアサイケ部門にはShaggs(←試聴できます)を筆頭として、脳細胞溶解系?の強力なバンドがごろごろ転がっているので。(その道のプロの人には「こんなのまともすぎです」といわれてしまうことでしょう。)

確かに、音はハモンドオルガン+ファズ(&ワウ)ギターが売りの、わりとオーソドックスなものです。でも最大の魅力はそのピュアさにあります。コマーシャリズムに染まらない純粋でナマのサイケ感覚。そういうたぐいのピュアさと、アルバム作品としての質の高さが奇跡的に同居した稀な作品だと思います。

ちなみに、現在アマゾンで売っているCD(最初にCD化されたもの?)は、残念ながらジャケがオリジナルとは違うつまらないものになってしまっています。


アーティスト: Mystic Siva
タイトル: Mystic Siva

第2回 アソシエイション


アーティスト: The Association
タイトル: Birthday

アソシエイションといえばソフトロックの代表選手みたいな感じで、サイケ度は低いと思われるかもしれませんが、私はいわゆる「どサイケ」アイテムと並べて聴いても違和感はないんですね。

サイケデリック・ミュージック=アシッド・ミュージックとするなら、ハイな気分になったり、逆に麻酔的に神経を鎮めたり、簡単にいえばヤバいクスリを飲まなくてもイイキモチにさせてくれるような音楽ならサイケだと言えるし、単にこの時代のフラワーな雰囲気を現出させて楽しい気分にさせてくれるようなものも、私にとってはサイケなんです。

このアソシエーションは(特にそのハーモニーは)麻酔的にいい気分にさせてくれる部類なんですが、ソフトロックの大将みたいなカート・ベッチャーがプロデュースしたデビュー作(邦題「チェリッシュ」1966年)が一番サイケっぽい感じがするのも面白いところです(「アロング・カムズ・メアリー」はマリワナについて歌った曲)。

ソフトロックとしての完成度・人気度としてはこの4作目の「バースデイ」が高いようですが、私は1stの「チェリッシュ」の方をよく聴きます。ただ、残念ながらそちらはいま廃盤になっているようで、中古屋で探すかオークションに出るのを待つしかないようです。

追記:
1stがCD再発されました。


The Association
And Then...Along Comes the Association

フェスティバル・エクスプレスいよいよ公開!


ロック・ドキュメンタリー映画「フェスティバル・エクスプレス」が明日(2月12日)から劇場公開されます。いまのところ東京の「シネセゾン渋谷」一館のみですが、順次全国公開予定です。私の地元はまだ公開日未定なので、早く来ないかと心待ち状態です。

出演アーティストは、ジャニス・ジョプリン(亡くなる2ヶ月前)、グレイトフル・デッド、ザ・バンド、フライング・ブリトー・ブラザーズ、デラニー&ボニー、などなど。60~70年代ロックファンはこの予告編を観たらワクワクすることでしょう。

以下公式サイトからの引用です。

1970年、列車は当時最高のロック・アーティストたちを乗せてカナダを横断した。ジャニス・ジョプリンを筆頭にグレイトフル・デッド、ザ・バンド、バディ・ガイ、フライング・ブリトー・ブラザーズなど、70年代を代表する豪華な顔ぶれだ。列車でツアーするこのコンサートは“フェスティバル・エクスプレス”と名付けられ、今なおロック史の中で伝説となっている。(中略)

5日間の旅のあいだ、車中では、集まったミュージシャンによる多くのユニークなセッションが行われていた。ジャニス・ジョプリン、ジェリー・ガルシア(グレイトフル・デッド)、リック・ダンコ(ザ・バンド)、デラニー&ボニー、イアン&シルヴィア、バディ・ガイ、そしてニュー・ライダース・オブ・ザ・パープル・セイジという豪華な顔ぶれのコラボレーションも実現したのである。この列車の旅によって彼らは、すばらしいパーティと、他のミュージシャンと共に音楽を創り出す一生に一度の機会を得たのだった。(以上引用終わり)

しかし、撮影されたフィルムはその後消息不明となり、長い間伝説のロックフェスとして語られるのみになっていました。ところが1995年、カナダ国立図書館で奇跡的に無傷の状態のフィルムが発見され、それからさらに10年の歳月をかけて映画化されたのでした。

すでに海外版(リージョン1)ではDVDが発売されていますが、字幕がないとキツそうなので、日本版が出るのを待ってます。


タイトル: Festival Express

第1回 13th Floor Elevators


アーティスト: 13th Floor Elevators
タイトル: Psychedelic Sounds Of The 13th Floor Elevators

サイケ関係のCD載せるのは、名盤シリーズみたいなのにしようか、それとも、あまり知られてないレア盤紹介みたいなのにしようか、とか考えてたんですが、けっきょく「無人島に持って行くならこれ」、という自己満足な企画に決定しました。

いまさら?という有名タイトルから、どこに売ってんだよ~というレアアイテムまで。はたまた、これサイケ?というソフトロック系からガレージパンク系まで、節操なく気ままに書き綴っていく所存です。あくまで、私の個人的な「無人島レコード」なので、一般の評価とは相容れない場合もあることをお断りしておきます。

さて、記念すべき第1回目は、「キング・オブ・いまさら」って感じですが、13th Floor Elevatorsです。トゥクトゥク。このバンド、一度聴いたら絶対忘れられません。天然アシッド野郎という感じ。トゥクトゥクトゥク。決して曲がぐちゃぐちゃとか、エフェクトぐにゅぐにゅとかじゃないんですが。トゥクトゥクトゥクトゥク

唯一無二の強烈な個性はこのJugというやつで、ほんと、こんな感じで曲の後ろでトゥクトゥクトゥクトゥク鳴ってるんです。壺のようなものを使って?声で楽器のような音を出してるそうですが、聴いてると頭の中を虫が這い回ってるみたいな感じになってきます。トゥクトゥクトゥクトゥクトゥクトゥクトゥクトゥク・・・。よりサイケデリック的な深みを増したセカンドのEaster Everywhereも最高!


アーティスト: 13TH FLOOR ELEVATORS
タイトル: Easter Everywhere

ステップフォード・ワイフ


昨日(2月5日)公開のステップフォード・ワイフ、観てきました。
ショートヘアーのニコール・キッドマンが、すっっごいチャーミングだった!
え、まじですか・・・37歳? このお肌のイキイキツヤツヤ感はなんなんだろう。なんかスクリーンからすごいいい匂いのするオーラみたいなのが出てて、ポーッとなってしまった。

さて、作品の方ですが、これは実はリメークなんですよね。オリジナルは1975年のキャサリン・ロス主演作で、原作はアイラ・レヴィンです。邦題も同じ「ステップフォード・ワイフ」でDVDが出てます。

原作はミステリともホラーともSFとも風刺小説ともつかない、自作の「ローズマリーの赤ちゃん」のセルフパロディとも取れるようなものなのですが、オリジナルの映画はホラー(当時でいうとオカルト?)の面を強調して、映像もお話も映画の「ローズマリーの赤ちゃん」に近い雰囲気の作品になってました。

当時はほとんど話題にならなかったようで(日本未公開)、おそらく「ローズマリーの赤ちゃんの焼き直し」として片付けられてしまったのではないでしょうか。(ホラー・サスペンスとして、今でもじゅうぶん鑑賞に堪える作品だと思いますが。)

で、今回のリメーク版ですが、オリジナルとはガラッと違う、明るくてポップなコメディ作品になってます。ラストは原作にはないハチャメチャSF的な展開になってアレなんですが、脇を固めるのがマシュー・ブロデリック、グレン・クローズ、ベット・ミドラー、クリストファー・ウォーケンと個性的な人が揃ってて楽しめました。(ニコールはこういうコメディの方がいっそう魅力的だと思った。)

それにしても、クリストファー・ウォーケン。昔はただコワイというイメージだったのが、サタデー・ナイト・ライヴ関係とかのコメディーのおかげで、この人が出てくるだけで「クスッ」となってしまうのは私だけでしょうか・・・。(SNLといえば、ジョン・ロヴィッツもベット・ミドラーの旦那役で出てました。)

とりあえず、画面観てるだけで楽しいという感じで、軽くデートで観たりするのには最適かなと。


タイトル: ステップフォード・ワイフ[オリジナル版]


著者: アイラ レヴィン, Ira Levin, 平尾 圭吾
タイトル: ステップフォードの妻たち[原作]

ビッグ・フィッシュ



タイトル: ビッグ・フィッシュ コレクターズ・エディション

おお、こういうファンタジーの語り方もあったんだと、ひたすら感心した。それと、人や景色を含めた「絵」がすごく好きだ。これまで観たティム・バートン作品の中ではこれが一番。

部類としては「シザーハンズ」と同系のファンタジーなんだけど、あれも好きな映画のひとつだけど、お話としてはいまひとつだったのに対して、こちらはベストセラーが原作だそうで、お話もしっかりできてます。いや、お話より次々に繰り出されるほら話のエピソードが楽しくて、本筋なんてどうでもいいやって感じだった。

ちなみに、巨人の役やってるのは「世界びっくり人間」みたいな日本の番組にも出たことのある人で(最初顔の骨格とか特殊メークだと思った)、しゃべりは吹き替えっぽいけど、対照的に小さなダニー・デビートといい雰囲気出してました。

父親役のアルバート・フィニーの若いころの役を、ぜんぜん違うキャラのユアン・マクレガーが演じているのも面白かった。あと、スティーヴ・ブシェミ(「レザボア・ドッグス」のMr.ピンクの人)も相変わらず印象的でした。

ブラッドベリのファンタジー(特に「何かが道をやってくる」)が好きな人は、きっと気に入ると思います。(ちょっぴしベタなところがあるのも共通してるかな?)

そうそう、それから音楽! バディ・ホリーとかオールマン・ブラザーズとか、グッとくるタイミングで使われてて、ロック好きには「おおっ!」って感じになります。たとえば、銀行でユアン・マクレガーがスティーヴ・ブシェミに再会する場面。「今仕事は何を?」「ここで強盗を」とか言って無理矢理銀行強盗の共犯にされてしまうシーンで流れるのは、キャンド・ヒートの「レッツ・ワーク・トゥギャザー」! ぎゃー渋すぎ。このバンド大好きなんだよー。最後のタイトルロールのパールジャムもカッコエー。

ジョン・ウェズリー・ハーディング



アーティスト: ボブ・ディラン
タイトル: ジョン・ウェズリー・ハーディング

これ、60年代のディランで一番地味なアルバムじゃないかな。「ハイウェイ61」→「ブロンド・オン・ブロンド」という大傑作ロックアルバムの次にこれが出た時、期待してた人たちはコケそうになったんではないかと思われます。

ほとんどがディランのアコギにドラムとベースのみという編成で、ユルくてスッカスカ。反戦運動やらサイケ全盛の世の動きや流行に背を向けるような、フォークやブルースやカントリーなどのルーツ志向のアルバムです。

でも、好きなんだよなー、これが。なんか、暗いのか明るいのかツラいのか楽しいのかよくわからない、喜怒哀楽を超越したようなディラン独特の世界。フィクションなのかノンフィクションなのか、本気なのか遊びなのかも判然としない。

この人は(特に60年代は)時代とともに語られたりしますが、ほんとは時代をも超越しているのではないでしょうか。(バイク事故を起こして一時期引きこもっていたときの作品なんで、隠者めいた印象なのもうなずけますが・・・。)

ちなみに、ジミヘンなんかも本作が好きだったようで、ここから有名な「ウォッチタワー」や「ドリフターズ・エスケイプ」をカバーしてます。あと、アルバムタイトルをそのまま芸名にしたアーティスト(SSW)もいますね。